押し寄せる小売業への波

2012年01月14日

昨年末、産経新聞にセブン&アイHDの鈴木会長が、セブンイレブンのコンビニ店舗数を現在の約1.4万店から、今後数年で3万に規模を拡大すると言う考えを明らかした。

皆さんもご承知の様に、コンビニは24時間365日営業,店舗数も多く、多様化した現在のライフスタイルに対応可能で、以前は単身者が客層の中心であったが、現在では主婦層や高齢者層の利用も増加してきている。

コンビニ側としても、この機を逃す事無く、さらに出店を加速し、利用客の囲い込みに躍起になっている。そこが、冒頭の鈴木会長の言葉につながるわけである。

コンビニ店舗数5万件が飽和 来期中にも達する勢い

業界では、『コンビニ店舗数 5万件』が市場が飽和する一つの目安と言われているそうである。

2012年2月末には、店舗数が約4.6万件に達する見込みであり、5万件が目と鼻の先にきているのであるが、2012年3月以降の1年間での、コンビニ大手4社の出店計画数は3,300〜3,500店舗。

来期中にはその上限に達する勢いである。

しかしながら大手コンビニ各社は、市場が飽和するとは考えておらず、その後も出店数を増加させながらシェアー獲得を目指していく。

その一方で、中堅・中小のコンビニは、大手コンビニチェーンと競争を余儀なくされることは必至で、『医薬品卸』や『ドラッグストアー』業界の様に、大きな再編の渦に巻き込まれるなかで、大手の傘下に編入されたり、場合によっては個別の店舗が廃業に追い込まれるところも増加、淘汰されていくのではないだろうか?

M&Aのスケールメリットや大手との提携も視野に

この動きはコンビニ業界だけの問題ではなく、同様の商品を扱う小売業にとっても大変な脅威である。

現状、コンビニは定価販売が大半を占めているが、『自社ブランド』の低価格商品を開発したり、『100円コンビニ』の店舗を出店したりして、価格面でのサービスの向上を図っている。また、近年は、いわゆる『駅中』にも大手コンビニが出店し、利便性の高さから業績を伸ばしている。

一般の小売店ではなかなかこの様にはいかず、競争が激化すればするほど、単独店舗での営業は価格面や、サービス面での、いかに差別化を鮮明に出す事が出来るか?これが、事業継続の生命線であろう。

すでに弊社でもコンビニを経営されている企業様の相談が寄せられている。

今後ますます、M&Aを活用しスケールメリットを模索する企業や、大手との提携も視野に入れる企業が増えてくると考えられる。中堅・中小企業にとっても、早い段階から、そのための準備(経営計画・財務体質の強化等)を進めていく必要であろうし、M&Aをするしないを考えるためにも、専門家への相談が不可欠だろう。

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